部屋に戻った私は彼に開口一番、「随分遅かったな」といわれたが、道に迷ったとウソをついておいた。
数十分後、今度は彼が用を足しにいった。そのすきに、彼のベッドの下に探りを入れた。もしかしたら、例の彼女の写真が残っているかもしれない。
結果は大当たり。じっと見つめること七秒弱。元あった場所に返しておいた。
なんてことはない。彼の両親のいったことは的を射ている。
確かに顔はそんじょそこらの女子よりもかわいいだろう。しかし、それだけの女だ。
私のほうがはるかに賢いし、見てくれもよく彼につりあう。
男が好きそうな顔をしているその女は小さいときから何人もの男を自分のとりこにしてきたに違いない。
そして、いつも告白してきた相手を振るほうであって、振られたのは今回が初めてかもしれない。
私以上にプライドの高そうなこの女は私のことを大層恨んでいるかもしれないが、知ったことではない。悪いのはそっちだ。
所詮顔だけの女は相手を飽きさせる上、相手の両親にも好まれない。それを知らずにここまできた彼女に落ち度があるのだ。
さしあたって、この女はそん所そこらにいる安っぽい女と変わらないと、いえよう。
この私とは違うのだから、彼に振られて当然だ。これにこりて、少しは中身を磨く努力をすればいい。
まぁ、どうして自分が振られたのか考えるほどの頭を持っているとは考えにくいが――
―続く―