「おじさんが言うにはあの男は三日後にはここを出る予定らしいです」
歩が喫茶店でとったメモを見ながら話している。
その顔は何時もと違って真剣だった。
「そうですね。一昨日の時点で三日後ですから実質的に後一日ですね」
こちらも真剣な顔付きである。この辺は流石というべきなのか。
「とにかく今日中に奴を見つけなければ取り返しのつかないことに成り兼ねません。急いで探さなくては」
中野は少し焦り気味であった。
そんな中野を見て歩は少し笑っていた。
「何が可笑しいのですか。歩さん」
中野は少し怒り気味で歩を見た。
「可笑しくないですよ
ただ焦っていた中野さんをみたらつい、ね」
「つい、ね。じゃないですよ。人が困っている時に」
中野は歩にもてあそばれ冷静さを欠いていた。
「落ち着いてください。中野さん。いい事教えてあげますから」
歩は中野を何とか落ち着かせようとしていた。
「気休めならいりませんよ」
「あ、そういう事いいます。いいですよ もう教えてあげますから」
歩はすねたように横を向いてしまった。
「すみません歩さん。
少し気が立っていたようです。それでいい事とは」
中野は何とか冷静さを取り戻した。
歩は謝られて調子に乗ったのか満足そうに話した
「実はですね〜喫茶店のおじさんにですね〜、
男の居場所聞いちゃいました」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・アハッ」
歩はびっくりした?って顔で中野を見ていた。
「アハッじゃないですよ。アハッじゃ。そういう事は始めに言いなさい」
・・・・ふう
中野は肩を落とした。
この時中野はふと思った。この娘と共に行動していいのかと。もしかしたらこのまま彼女ペースに流されてツッコミ役で終わってしまうのではないかと。