この蒼く澄んだ、死にたくなる様な空に僕はそっと手を伸ばした。
伸ばしたその手の先には、
限りなく綺麗で、
驚く程儚く、
声が出ないほど残酷で、
反吐が出る程平穏な、
ただただ、どうしようもなく和えかなる虚空が広がっていた。
『背伸びをすれば、きっと何にでも手は届くさ』
そう信じて伸ばした手は何も掴めず、虚空は僕を嘲笑う。
それで僕はふと気付く。
これはきっと掴めないものなのだと。
そう思い、自分を納得させようとする。
「けれど・・・」
首を振る。
考えてはいけない。
「だけど・・・」
笑って誤魔化す。
悟ってはいけない。
そう自分に言い聞かせ自らに、
右手には欺瞞の、
左手には虚偽の、
錆びた鎖の繋がった杭を打つ。
鎖に繋がれた僕の両手から滴る血は、嘘と混じり僕を侵食した。
流れ出る血が欺瞞ならば、虚偽ならば、僕自身もきっと欺瞞であり、虚偽なのだろう。
そう、このときから僕は嘘になった。
このときより僕は嘘を生きる。
それでいいのだ。
それで幸せなのだ。
悲劇を繰り返す僕には、それこそが唯一確かな相応しさなのだから。