羊飼いの少年「ウウ」
ウウはここ所二、三週間羊の乳だけをたよりにライフラインをつないでいた。
羊はそこら辺に生えた干し草のようなものを食べて乳を出していた。
だがここ数日はその乳も底をついたように出なくなった。
ウウは羊を食べようと一度は試みたが、羊もウウと同じ骨と皮だけなので食う気などしなかった。
「まずいのぅ、このままでは死んでしまうかもしれんのぅ」
ウウは十八、九の見た目によらず老人のような喋り方なのである。
ウウはとりあえず町に出セントラル中央に位置する駅を目指した。
そこでならなんとか食料にありつけるかもしれないと、思っていた。
ウウは今までにも食糧難をある時はお金を恵んでもらい。ある時は羊小屋に突っ込んできた果実店のトラックの運転手に慰謝料と称してりんごをたくさんもらったりしていた。
羊小屋はちょうど川の畔の絶妙なカーブにあたる所に位置しているので、そういうことが何回か起こるのだ。
これはウウの計算である。
だかさすがに彼が眠っているときに養豚所から逃げ出した牛の大群の猛突撃のため、安全な場所に移動したのである。
ウウはだんだんと近づいてくるセントラル駅を見上げ「でっけぇ箱だなぁ」と言った。