雲ひとつない清々しい天気。何日ぶりだろう…朝のテレビで梅雨明けが発表されて夏が始まろうとしている。
「おはよう」
もう何年も使ってない言葉。
私には友人と呼べる人がいない。いつも一人で学校生活を送っている。もう悲しいとか寂しいなんていう感情も忘れてしまった。まぁそれもどうだっていいんだけど。
そんな私の靴箱に一通の手紙が入っていた。
―星野柚木様へ―\r
………私宛ての手紙だ……
手紙なんて貰ったの何年ぶりなんだろう
差出人を見てみると律儀に住所まで書かれている。
「…斎藤…一樹…?」
あぁ思い出した。
同じクラスの男子だ。
たしかあいつも変な性格してるから教室で一人浮いてるよなぁ。
まぁどうせ別の誰かがイタズラしたに決まってる。そう思いながら私は手紙の封を開けた。
―星野柚木様
おはよう。
今日は空が青いね
実はあなたにお願いがあります。
今、この場では言えない内容なので
8月20日に青葉公園に来てください。
わがままな僕の望みを聞いてあげてください。
それでは、楽しみに待ってます
斎藤一樹―\r
何コイツ。
8月20日ってまだ1ヶ月以上もあるじゃん。
イタズラにしては変なの。
とりあえず私は手紙を適当に鞄の中に突っ込んで教室へ向かった。
―おはよう―\r
久しぶりな感覚…
胸がひとつ高く、大きく波打った。
この気持ちはなんだろう。
この気持ちを知るのはまだまだ先の話。
―続く―