あの人の家に泊まるのは、四度目だった。
二人であの人のシングルベッドに入っても、未だに、セックスには持ち込めなかった。
あの頃の僕は、なんとなくフワフワしたあの人を掴みきれずにいた。
いつもの様に二人でベッドに入った。
ベッドが狭いからという理由で、僕の腕枕には応じてくれていた。
いつも眠り始めると、僕の胸まで潜り込んでしまうあの人に、キスする事もできずにいた。
明け方、近くの遮断機のカンカン…という音が聞こえてきて、
「あ〜、今日も手出せなかった…」と、ため息をついた。
「眠れなかった…?」
布団に潜り込んだあの人が見上げる様に、僕に問う。
「いゃ…、寝ましたよ」
僕は、あの人のスッピンの寝起きの顔が好きだ。
少し派手目の顔のあの人は、職場では化粧をしていて、「できる女」に見えた。
けど、化粧を取ると幼い顔で、職場とは違いどこかぬけていて、かわいいタイプの女性だった。
「僕はいつまで、我慢できますかね…」
真面目な顔で、僕はあの人に尋ねた。