「うん。ありがとう。」
僕は笑った。
「私……そろそろ帰らないと。」
「もうそんな時間なんだ……。」
「じゃあね……。」
彼女は、家に帰っていった。
僕は、彼女が視界からいなくなるまでそこにいた。
それから十年がすぎた。
十年たった今でも、ミサンガは切れてはいない。
……ずっと、今日切れていいと思っているがなかなか切れてはくれない。
僕が溜息を吐くと、下から母親の声が聞こえた。
「現、いいげん下りてきなさい!遅刻するわよ!」
「もうそん時間か!」
僕は急いで制服に着替えて、朝食を食べた。