(この女霊は俺を取り込もうとしているにちがいない。)
俺は気がついた。
きずきたくも、考えたくもなかったが、
この劈く声
普通なら考えられない状態だ。
俺の部屋には幽霊がいる。
いるなんて考えたくもなかったが。
どうやら俺自身この女霊と戦はなくてはいけないようだ。
(どうやる?相手は霊!しかもある意味強敵!どうする?)
「かえしてよ..」
「痛っ...」
俺は棚上にある御札に向って、祈りを捧げた。
「神様たすけてください..おねが.いです..」
棚上から何か落ちてくる。
[ゴトン...]
棚から御札が落ちた。
「あれっ..?」
「あん.たなに.したのよ..」
俺は落ちた御札を取ろうと試みるがとれない。
力が入らない..目をつぶり精神統一をした。
一瞬あの声がしなくなった気がした。
そのとき...
「かえしてよ..」
女霊は俺の目の前にいた。
はっきりと分かる女霊の顔は、怒りに満ちていた。
俺は、驚き尻餅をついた。
女霊は俺に寄り掛かるようにして近いてきた。
(あああああっ‐)
俺は恐怖のあまり自制心を失いつつあった。
[ドクドクドクドクドクドクドクドク]
心臓が高ぶる俺。
その時女霊の手が伸び俺の首もとまで伸びた。
(これはあの時の感覚と同じだ‐)
「このままだとやばい...」
俺は体全体を動かそうと試みるが、女霊の手は人間の俺ではどうしようもないものであった。
俺は逃げ道を失った。
絶望的な今この現状の中で、俺自身死を感じた。
この女霊は俺を取り込もうとしているにちがいないだってイヤでも伝わった。
(ふざけやがって...)
「くぞぉがあああ」
俺は女霊に向き直り、今まで見せたことのない眼光で睨みつけた。
その時俺の左耳から微かに聞こえるが、聞き取りずらい
だが..心に響くようなその声は、まさしくあの神主の声であった。