僕は、逃げずに眠り続けた。感情を殺したんだ。学校の帰り道、誰もいない山道で目は潰され、綺麗に色ずいたはずの山々は、一度も見なかった。見えるのは、僕を押し潰そうとする、たくさんの小さな悪魔の笑い顔。目を見ただけで、僕の細い身体は締め付けられて、毛穴が浮き立ち呼吸を忘れるんだ。それでも扉を閉めなかったよ。赤黒く熱を持った溶岩は、行く場所を与えられなかったから、僕の身体を焼き続けたんだよ。熱さに悲鳴をあげることもできずに。眠り続けてた俺は、気がついたんだ。もう明日がなかったことにね。血の気を失った青白く尖った顔は、あまりに醜く、茶色く濁った眼球はただ一点を向いていた。滅亡に続く霧がかった橋を。 血の繋がりは、強制的に俺にいい子を演じさせる。傷つかない鏡のように。鏡はとっくに割れちゃってたのを知ってたのに粉々になるまで踏み潰したよね。だから僕は、演じ続けたんだよ。粉々のガラスを宝石だと偽って。私を殺したのは、僕だったんだね。