それから3週間が過ぎた。
リハビリが始まり、やっと一歩前へ進んだかのようにみえた。
しかし、ここでまた問題点が…
リハビリ室に、つくと、担当の先生の説明があった。
『あなたの場合、骨折があるから無理は出来ない。とにかく、ゆっくり進めていこうね』
《そんな…それじゃ、やはり私には他の人よりリスクがあるじゃない…先生は変わらないって言ったのに》
その日の午後…検診があり、先生が何人もの若手の先生をつれ、看護婦をつれ、部屋に入ってきた。
沢山の先生に囲まれ、執刀した先生は言った。
『調子はどう?』
何事もなかったような言い振りだった。
『…あの、私、順調に良くなるんですか?』
すると、
『大丈夫だよ!…え?何かあったのかね?』
忘れていた…
あの事件すら忘れていた。『先生!私、骨折してるんでリハビリが他の人よりは遅れるみたいなんですけど…』
すると先生はハッとしたような顔をして
『大丈夫、大丈夫!!』
…体は部屋を半分でていき、後は質問する余地はなかった。
この時から先生は私の顔を見ると、ソソクサと逃げるようになったのだった。
《…もう誰も信用できない…自分の自然治癒力に賭けるしかないのか…》
不安と苦痛に押し潰されそうだった…
その後のリハビリも、ゆっくりゆっくりで到底、他の人に間に合うペースではなかった。
検診は週1のペースで行われたが、段々、先生が私のベッドを避けるようになってきた…
私も質問しても納得いく返事のこない先生には呆れ返っていた。
そして3ヶ月が過ぎた頃の検診の日…心を決め、先生に声をかけた。
『あの!!私はいつ良くなるんですか?!』
先生は少し唇を歪ませ『歳だから回復が悪いんだよ』
馬鹿にするような口調で言い私を見、そそくさと部屋を後にした。
《この先生は、もうダメだ…これ以上、心まで切り裂かれたら立ち直れない…もう何も聞きたくない…誰も信用できない…誰も助けてはくれないんだ…》
その夜…ベッドの中で声を殺し泣いた…それは傷の痛みであり、思う通りにいかない身体への、もどかしさ……そして何より、先生と看護婦、病院の、だらし無さ!!
もう未来が…目の前が真っ暗になって涙が止まらなかった…