朝から騒がしい教室を開ける。
何故かしん…と静まり返る。
そして何秒か経つとまた元のうるさいクラスに戻る。
―私が入ってきちゃ駄目なのか?
柚木は迷うことなく席に座る。そしてすぐ、授業が始まるまで読書をする。
別に柚木はいじめにあっているわけではなかった。でもクラスで浮いている存在。
柚木は黙々と小説文字を追っていく。
その時、トンッと誰かが柚木の肩を叩いた。ふと振り返ると、そこには斎藤一樹の姿が。
「手紙読んでくれた?」
………?
あぁ、何かと思えば…。
「読んだけど、何?あれ意味分からないんですけど」
慣れない会話にどこかぎこちない
暑くもないのに汗かいちゃってるし、必要以上に心臓動いてるし。
「読んでくれてたらそれでいいんだ。
その約束絶対忘れないでね」
朝日にうつる一樹の笑顔はいつもより綺麗に見えた。
斎藤なんていつも一人ブツブツ窓の外を見て喋って、急に笑いだしたりもする。
やっぱり周りは誰も斎藤に近づこうとしない。
私、変な人に目をつけなれちゃったなぁ…
柚木はひとつため息をついた。
まぁ自分も他人から見れば十分変な女なんだろうな。
―それから十日語…
いきなり学校で訃報を聞かされる事になるなんて…
―斎藤一樹、昨夜学校の屋上から身を投げ出し死亡。―\r
―続く―\r