「この雨はいつまで降るんですかねぇ〜」
「そぉ嫌な顔するな、この雨のお陰で敵の砲撃が止んでるんだからなぁ」
「ですがもぉブーツん中がため池みたいになりそぉですよ…」
ブーブー文句がでるのも仕方がない。なんせこの雨は既に一週間も降っているのだから…
ダカカカカッ、
バンッ、バンッ、バンッ
「十時の方向より発砲を確認っ」
「伏せろっ、弾薬を銃に装填しろ!」
そんな指示があちこちで飛び交う…
ダララララッ、
チューン、カーン、
「小隊長っ、指示を早くっ」
軍曹が叫んでいる。俺は
「反撃しろっ、無駄撃ちはするな、もぉ予備の弾薬はない!!」
そぉ俺は軍曹に向かって叫んだ。
ダカカカカッ、カーンッ
頭に強い衝撃があった。どうやらメットに流れ弾が当たったらしい。だが俺はまだ生きていた。
「手榴弾だっ!伏せろっ」
そんな声が聞こえたとほぼ同時に爆音が耳を劈いた…
ドッグォ〜ン…
泥混じりの雨が周囲に降り注いだ。かなり焦げ臭い…
「衛生兵っ〜どこにいるっ、早く応急処置をっ」
そんな声が聞こえてきた。俺はどうせ助からないだろうと思っていた…
土砂降りの雨が銃声と人の叫び声を書き消していた…まるで悪戯をした子供が悪戯を隠すかのように。
先の戦闘で俺は二名の部下を失った。そのうち一名はバズーカの弾が直撃し、死体の回収は不可能だった…
「補給の部隊は何故来ないんですかねぇ…」
「俺たちなんか忘れられてたりすんじゃねぇの」
そんな話があちこちで話されていた。それを咎めるつもりはない。なんせ弾薬も食糧もだいぶ前に尽きていた…もぉ一週間近く何も食べていない。
「小隊長、偵察隊からの報告です」
「なんだ?」
「この野営地に敵の部隊が接近中です。」
「部隊の規模と装備はなんだ?」
「敵はT―3戦車3台を含む車両中隊で、対戦車砲や重機関銃を装備し、完全武装で固めています…」
「…3分で装備一式をまとめ5分でここより退却する!」
「了解しましたっ」
中佐の本隊に合流した時には半数以上の部下が飢えと戦闘で死亡していた。
中佐に報告を済ませると俺の隊は再編される事になった
続く