MORTAL〜ユイツタシカナフサワシサ〜1日目ー?

コナタ  2006-11-21投稿
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「別れよう。」
仕方がない、とそう思う。これから死ぬ僕と付き合っていても、それは無駄なことだ。別れを言わずに僕が死に、彼女がずりずりと気持ちを引っ張るよりも、今別れを告げた方がいいだろう、と、これは昨日考えたことだ。
「え?何?急に。冗談でしょ?」
苦笑いしながら彼女、絵美はそう言う。
冗談ならどんなにいいだろう。たがこれは、僕が死ぬのは、事実なのだ。
故に僕は、まじめな顔を崩さず無言を持って事実の肯定を示す。
「本当に・・・?でもどうしてよ?私何かした?」
僕が死ぬからだよ、とそう言えればどれだけ楽だろう。しかし、言えない。言うつもりもない。
「お前に飽きたんだ。」
だから僕は明確な拒絶を示す。
「そんな・・・ひどい・・・」
そう言い絵美は走り去る。
もちろん僕は追えない。
なぁ彼方、追いかければどうだ?
「うるさい。」
なぁ彼方、彼女はいつだってお前のために尽くしてくれたじゃないか。
「黙れ。」
なぁ彼方、こんな終わり方でいいのか?
「しゃらくせぇ!!」
傍にある椅子を、机を蹴り飛ばす。蹴り飛ばす。蹴り飛ばす。蹴り飛ばす。蹴り飛ばす。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
「これでいいんだよ?どこが間違ってる!?」
また、1人になっただけだ。
「まさか、今更僕は1人が寂しいのか?」
欺瞞だ。今まで1人で生きてきたのだ。今更寂しいわけがない。絵美と付き合ってからが余りにイレギュラー過ぎただけだ。
「はは・・・はははは・・・所詮僕に幸せは似合わないんだ・・・」
ひとしきり蹴り回り、僕は床に転がる。
「ちくしょう・・・いてぇ・・・」
足がドクドクし、脈を打っているのが分かる。そしてまた、ひどく熱い。
この光景を客観的に見たら、僕はどれだけ滑稽だろうか。
「ははは・・・まったく馬鹿らしい・・・」
この悲しみも、虚無感も、何かも全部欺瞞なんだ。
僕の体は欺瞞で出来ているのだから。
「それにしても・・・いてぇなぁ・・・」
そう呟くと、何処からか一言。

「貴方が本当に痛いのは、足だけかしら?」



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