シゲは、いい奴だった。最初の印象とは全く違って、今後オレ達がするべき事を教えてくれた。
『まず、さらに隣の町へ行け。隣はミスカといって、才持者がたくさんいるはずだ。』
サイジシャ?聞いた事のない単語が出てきたので、ツキは聞いてみた。
『あ、お前達知らないのか?才持者っていうのは、何か特殊な能力がある者の事を言うんだ。つまりオレも才持者ってわけ。で、能力を才術とよぶんだ。』
シゲによると、この世のニンゲンは、4才になったら才持チェックとか言う検索をするらしく、そこで才術を使いこなせる能力を持った人は、才持者専門学校に行かされるらしい。
『アタシ達そんな事したっけ?』
『してない』
ツキにもチィにも覚えがなかった。でも、その検索は、義務らしい。おぼえてないだけかもねー_とチィが言った。それでこの会話は終わっていった。
とりあえず、二人はシゲに地図をもらって明日出発することにした。ツキにとってこの一日は、今までで一番長く、最悪な日となった。
翌朝、二人はシゲにたたき起こされた。
『まだ5時じゃんか!』と、言おうと思ったツキだが、慌ててその台詞をのっこんだ。 シゲの表情が険しかったから。
『オ、はよう。シゲ』
ツキはフツーにあさの挨拶をかわした。
『わるいな…こんなに早く起こすつもりはなかったんだが…。実はついさっき未来が見えて』
嫌な予感がした。朝からこんな気分ってやだな。と ツキは思った。
『ヒロが、カラスを派遣する。お前探しのために。』
そう言って、ツキの方を指差した。
『カラスといっても普通のじゃない。巨大な…化け物みてぇなやつだ。』
『ヒロの手下なのか?それって』
コクンとシゲがうなづいた。敵は、本格的にツキを捕まえる気だということを、思い知らされた瞬間だった。