次の瞬間矢田はすでに地面に寝そべっていた。先生は息遣いが荒かった。
「先生ッ!?やめてよ!!」
矢田をまた殴ろうとした先生の手をあたしは力いっぱい止めたすると矢田が飛び起き
先生を殴った。
「お願い!やめてよ!」
「ふざけんなよ!生徒と不倫なんて…、
姉貴が悲しむじゃねえかよ!!?」
矢田はいつものような呆け顔をしていなく
眉も目もつりあがり怖かった。
「拓真さん、お願いだから姉ちゃんを
悲しませないでくれよ…。」
「…ここで妻を選ぶのは簡単だが紅葉は
どうする?この子が悲しむ事になる。」
先生はあたしのほうを見た。
「よく考えてくれよ、拓真さん…。」
矢田はそう言ってシャツで口から出ている
血を拭ってあたし達の横を通り過ぎた。
「先生…?」
先生の顔を覗き込むと悲しげな表情が
見えた。
「紅葉、今日は帰れ…。送っていってやる
から…。」
「…いいよ、一人で帰る。」
あたしは傍にあった鞄を引っつかみその場
から走り去った。
家に帰る途中、突然の雨に見舞われた。
制服はビショ濡れになった。
子猫があたしの足に擦り寄ってきた。
まるであたしの冷え切った足を暖めてくれ
てるかのようだった。
「今日はよく雨が降るね…。」
あたしは不思議と目から涙が溢れていた。
足に寄りかかっている子猫を見てみると
なんとブルーの瞳から涙がでていた。
ペットは主人の感情に敏感だと言うが
あたしは信じていなかった。でもこの瞬間
それは本当だという事が分かった。
動物の涙は人間なんかより綺麗なのかも
しれない。なぜなら真険に主人の事を
心配する純粋な気持ちが涙に
現れていたから―＼r
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