「少尉の容態はどうだ?」
「順調に回復してますよ、ただ…」
「どぉした?何か後遺症でもあるのか?」
「いえ、かなり曹長の事を気に病んでいたので…それが心配でして…」
「そうか…曹長の事は俺に責任がある…あの時、伍長を行かせていれば良かったと後悔している…」
少尉はそれから3日後に自殺した…曹長がいつも手入れをしていた愛用のマカロフで……
俺の部隊は最大の激戦地にいた。現地入りして2時間…俺は既に3人の部下が戦死した。
「頭がおかしくなりそうですよ…」
「そぉだな…この銃撃と砲撃にはウンザリだ…」
「小隊長っ、2時の方向から敵ですっ」
「掃射しろっ、近付けるんじゃない!!」
ドンッ、ドンッ、
ダカカカカッ、ダカカッチューン、チュィーン、
「敵の数が多過ぎる…防ぎきれない!!」
「弾薬がもぉありませんっ!誰か弾をっ…」
そんな声が飛び交う…俺の小銃も弾切れになっていた。俺は懐からクリップ型の弾倉を引っ張り出しメットに叩き付け弾が入っている事を確認し装填した。
「撃たれたっ…助けてくれ〜…」
「衛生兵っ〜早く手当てをしてくれっ…」
「もぉ俺たちはダメだ…ここで全滅するんだ…」
「前方200mにT―3戦車を視認っ!」
「対戦車砲はどこにある!?」
「ここにあるぞっ!…くそっ、弾切れだ…誰か弾をくれっ!」
俺は戦車に向けて走り出していた。
「小隊長っ!?何を考えてるんですかっ、早く塹壕に戻って下さいっ」
そんな声を背中に聞きながら俺は戦車の上に乗りハッチを開け手榴弾を中に投げていた…
ドゴォォン…
籠ったような爆音が響き戦車は動きを止めた…
「もぉこんな真似はやめて下さいっ…部下の身にもなって下さいよ」
「すまん…身体が勝手に動いていた…」
「はぁ……大した小隊長だ…」
戦局は圧倒的に不利だった…じりじりと押され戦線を下げるしかなかった。
6月13日…俺の戦争の終わりは唐突だった…
朝、ふと塹壕から頭を上げた瞬間…一瞬、衝撃が走り後ろに倒れた…
「小隊長っっっ……」
俺は今まで何のために闘っていたんだろ……
終り