万華鏡(8話)

飛水  2006-11-22投稿
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俺は家へと戻った‥
‥‥疲れた、とにかく疲れた。あの試合が遠い昔のように思えてくる。
頭がぼーっとして‥もう何も考えられない。
とりあえず寝たい‥全部悪い夢だと思いたい。
俺はベッドに倒れこんだ‥


(ピーンポーン‥)

『‥‥‥‥。』

(ピーンポーン‥‥)

『‥‥っ。‥はいっ!』

重たい体を起こし、大股で玄関へと向かう。
ドアを開ける。
美月がいた。彼女はパジャマ姿だった。

『‥おまえ、まだ起きてたのか‥』

時計は午前4時27分をさしている。

「電気‥見え‥たから」

『そうか‥。‥‥‥。』

‥心配させたくなかった。震える声を押し殺し、普通に話そうとした。

『‥瞬は大丈夫だから心配すんな。まだ麻酔から目覚めてないけど、大丈夫だからさ。』

「‥え????麻酔って‥なに?‥手術したの?」

目を合わせられなかった‥。合わせたら何もかも見透かされてしまいそうだった。

『‥‥あぁ‥』

‥自分の声が震えてきている。

「‥そ‥んな‥‥なんで‥‥なんなのっ?」

‥‥今まで押さえていた、やり切れない思いが美月へと爆発した。

『‥‥ぉ‥れだって‥俺だってわかんねーよ!!』

「‥りょ‥ぅ‥」

『俺もまだ混乱してんだよ!!‥‥落ち着いたら、落ち着いたらちゃんと話すから‥‥‥‥。』

美月の目には涙が溢れていた。

「‥‥ごめ‥」

美月は闇の中へと消えていった。

(‥‥‥はぁ‥。)
溜め息がもれる。
ドアを閉め、部屋に戻る。足元がふわふわしている。
布団に顔を埋める。


‥言い過ぎた。わざわざこんな遅くまで起きていてくれたのに‥‥あれはないと思う。マジ最低だ‥‥。


‥‥‥‥‥。
‥‥謝ろう。
んで、全部話そう。


俺はいつの間にか眠りに落ちていた。



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