‥さっきから窓ばかりみている。寝ようとしてみたけど、頭から離れない。
あれからどうなったか、私は知らない。
午前4時25分をまわったとき、向かいの家の電気が点いた。
私は一目散に彼らの家へと向かった。
ベルに手を触れる‥
一瞬ためらった‥‥でも、明日まで待てなかった‥
ベルを押す。
(ピーンポーン‥)
‥‥‥‥‥。
反応がない‥。
もう一度押してみる。
(ピーンポーン‥‥)
「‥‥‥‥‥はい!」
凌の声だ。
勢いよく歩いてくる足音が聞こえた。
ドアが開いた。
髪はボサボサで赤く腫れた目でこちらを見ている。
『電気‥見え‥たから』
凌は少し驚いた顔をみせた。‥少し声を震わせながら話し出した。
「そうか‥。‥‥‥‥‥。‥瞬は大丈夫だから心配すんな。まだ麻酔から目覚めてないけど、大丈夫だからさ。」
『‥え????麻酔って‥なに?‥手術したの?』
「‥‥あぁ‥」
凌はうつむき、顔を左に向ける。
「‥そ‥んな‥‥なんで‥‥なんなのっ?」
一瞬だけ、目が合った‥。すごく‥こわかった。
『‥‥ぉ‥れだって‥俺だってわかんねーよ!!』
「‥りょ‥ぅ‥」
目頭があつくなってきた。必死で我慢する。口だけがしょっぱくなってきた。
『俺もまだ混乱してんだよ!!‥‥落ち着いたら、落ち着いたらちゃんと話すから‥‥‥‥。』
もう限界だった‥。
目まで込み上げてきた。
『‥‥ごめ‥』
最後の『ん』の言葉さえ、もたなかった。
必死に我慢している凌に、涙は見せたくなかった。
気付いたら自分の家の玄関まで走っていた。
『‥‥‥‥っっ‥。』
家を飛出したときとはまた違った何かが心の中に重くのしかかっていた。