真っ赤な朝日。僕は見たんだ。地平線が揺れながら、溶けていくようだった。母と一緒に。俺は壊れてしまった紫色の野心を抱きしめて、逃げまわった。 何から逃げたの?怖かったんだね。最初から何も持ってなかったのに。必死に身体を切刻みながら僕は逃げたよ。僕の脳は、全てを遮断して動かなくなっちゃったんだね。人間じゃなく、何になりたかったのかな。 あの子を助けたかったんだ。自分も助けられないくせに。 弱い自分に嫌気がさす。涙はもうないから。僕を置いて行くのは、もう辞めて。追い詰めて来るあの時の記憶。ほどけないあの感情。大きく呼吸をする僕は、あの時のままだね。まだ生きている。 背伸びをする僕はもういないからね。 隠し続けた紫色の影。またあの真っ赤な朝日は、あるの。それとも消えてしまったのかな。僕の前から。 私はいつも何かに怯えているんだ。暗闇しか知らないから。