「一緒にしようと思って」
「また、そんなに沢山…」僕が呆れた風にあの人を見下ろすと、
「絶対あげへん!」とあの人は少し膨れて、車に乗り込んだ。
夕飯を食べた後、二人で近くの河川敷に出掛けて、トンボやパラシュート、打ち上げ花火を手で持って大騒ぎした。
「こんなの初めてです…」
「えっ…、花火した事ないの?」あの人が尋ねた。
「いや、花火がこんなに楽しいのが」
僕は、河の流れを真っ直ぐに見つめて言った。
「何か、あった?」あの人の勘はスルドい。
「僕、8月から異動で商品管理になるんです。」
「えっ…」さすがにあの人も驚いた。
「助けて下さい…。僕は、異動したくないです。」
あの人は、黙っていた。
「助けてあげたい。でも、私の立場じゃ…」
「僕が営業でどれだけ頑張ってきたか、僕の上司にも伝えられるじゃないですか。」
「それは、取引先の私が、口出しする事じゃない。」
きっぱりあの人は、僕に告げた。