次の練習のときに、美加が出てきた。美加には、さんざんアンサンブルの魅力を語った挙句、本番には、エキストラとしてメンバーに加わることを承知してくれた。本番の日は予定入ってないからいいよ、と快く言ってくれたのである。やっぱり、持つべきものは教え子だ、うん。
今日も、畑中さんは来てくれたので、久しぶりにメンバー5人が揃った。
久しぶりじゃない!初めてだ!私が入会してから。
「曽根さん、譜面見つけたんだけど、今日うちに置いてきちゃったもんで、次の東部公民館の練習のとき持っていくから、そのとき少し合わせてみよう。みんなで。」
「はい。」
岩田さんが、スネアの調整をしながら、私に唐突に話しかけてきたが、アンコンの曲のことだというのは良くわかった。
「みんな、来れるよね?山内さん、来れる?」
「はい、午前中だけですが…。」
「あ、それならOK。で、富山くんは?」
「僕は行けます。」
「じゃあ、いいね。」
うん、せっかく譜面があるのに、人が来ないじゃ嫌だな。
「ところで、スネア持ってる人、いないよね?」
なに?スネア?
「スネア3台使う曲やるもんで、ここのと、オレが1台家から持ってくるので2台あるけど、あと1台都合できないかな、と思って。…なきゃいいや、1台を2人で叩けば。」
スネアもう1台も無謀だが、2人で1台のスネアをぶっ叩くっていうのも無謀だ。もしそうなったとしても、富山くんとだけは組みたくないな。なぜ?いや、なんとくね。
ま、どんな曲かな?と期待に胸を膨らませて、今日は今日の合奏の準備をした。そんな矢先のことだった。