こたえ

 2006-11-26投稿
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『拓ちゃん、私と別れたいの?』私の問い掛けに、彼はうつむいた頭を横に振った。『じゃあ何で…!?』思わず荒げそうになった声を抑え、その後の言葉も飲み込んだ。私の家の私のベットで私の知らない女の子がスヤスヤと幸せそうに眠っているからだ。部屋中に散らばった服の趣味から彼のバンドの熱狂的なファンである事はわかる。   私はどうすればいいんだろう。正直、彼女を起こし、二人を罵り、平手打ちでもお見舞いしてやりたい。でも万が一騒ぎにでもなれば面倒だ。彼女はアルコールの匂いがするし、細い腕に彼の名前が刻まれている。今夜、彼は久しぶりのライブだった。私は仕事で行かなかったけれど、彼は私がこの時間に帰る事を知っていた。もう終わりだ。  『出て行ってよ、二人で。私、隠れてるから』沈黙が続き、彼が小さな声で『沙恵さんは俺の事好きだった?』独り言のように言った。私がベランダに出ると、二人は支え合うように部屋を出て行った。     ふいに昔飼っていた犬の事を思い出した。家族の中で私にだけどうしてもなつかなかった。『沙恵ちゃんが拾ってきたのにねぇ…』母が不思議そうな顔でつぶやいていた。



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