「いいですか 歩さん。
奴の力量は未知数です。
まずは様子見で向こうの出方を見ましょう」
(しかし・・ 全力を出してないにも関わらずこの殺気。やはりこの男野放しにはできない)
中野は冷や汗を流している。
「了解です」
歩も殺気を感じ取っているのかその声はとても緊張している。
「どうした。来ないならこっちからいくぜ。
破ッ」
辻本は右手を延ばした。
そしてその右手からは五匹程の水龍が現れた。
「歩さん 来ましたよ!」中野が叫ぶ。
「分かってます。 殺ッ」歩が叫ぶと同時に水龍が掻き消された。
「おぉ スゲェ。
何だその技は」
辻本は驚いている。が、
その顔には余裕の笑みを浮かべている。
「歩さんは相殺術と読心術の使い手。あなたが技を出す瞬間にあなたの心理を読み技と対なる属性の気を練り技にぶつける。これが彼女の技です」
歩の代わりに中野が説明をした。
「そうか。その女にそんな特技があったんか。
こりゃ気をつけないとな。で、お前はどんな特技を持ってんだ」
辻本が中野に問い掛けた。
「私は・・いいですよ。出し惜しみするきもないですから見せてあげましょう」
そい言いながら中野はポケットから一枚の札を出した。
「いでよ 火の精 我が命にて敵を焼き尽くせ
『salamander』」
中野の札から火の精霊サラマンダーが現れた。
「見ての通り私は術師。
精霊召喚を得意とする。喰らえ辻本、灼熱の炎を」
中野の言葉と同時にサラマンダーは辻本に向かって炎を噴いた。