運命の朝は無情にも早く訪れた。
南方は一睡もできなかった。
ミユキとの約束の時間が刻々と迫る。
南方は自分の荷物をまとめたトランクとエレキギターを肩から担ぎ、我が家を出た。
その足取りは重々しく、足かせが付いた様にも見えた。
ミユキにチケットを渡すため、山下とミユキの待ち合わせ時間を予めズラしていた。
だが今は違う。
このチケットで山下と一緒に宇宙へ行くのだ。
そう自分に誓っていた。
まずセントラル宇宙空港に着きミユキに会う。そして素直に謝るんだ。
きっと彼女は怒って呆れて俺を捨てるだろう。
そしてその後に来た山下に何事もなかった様にチケットを渡す。
そんなことを考えてる自分は本当に臆病な奴だとつくづく思った。
くそっ!足が重い…
一時の友を裏切った気持ちと彼女を裏切った気持ちが重くのしかかる。
それでも約束の場所と時間に確実に近づいていくのである。
宇宙空港に着くと、テレビ局の記者たちが大勢いた。
みんなこれから宇宙を旅する英雄たちを押さえようと、我先にと言った様子である。
南方は伝言掲示板の前に立つミユキの姿を見つけた。
ミユキが無邪気な笑顔で手を振っている
思わず胸が締め付けられる。
つづく