…もうだめだ…目がかすんできた。
足もまた痺れだしてきた
南方はふらふらになりながらミユキたちを追いかけていた。
…せめて山下の分だけでも返してくれ!とただひたすら声にならない声を出していた。
しかしそんな声などミユキたちの耳に届くわけもなく、ミユキたちは入場ゲートまであと20数メートルと言ったところだった。
あそこを通るにはチケットが必要である。
つまり入場ゲートに入られたら最後。もう南方と山下は宇宙へ旅立てないのである。
それだけは絶対に避けたい…なんとしても山下だけは行かせてやりたい!
しかし想いとは裏腹に南方はその場で突っ伏してしまう。足に限界が来ていた。
…だめだ、もうなにもかもおしまいだ。
ミユキたちは笑いながらゲートに向かおうとしている。
だがその時、ちょうどゲートの前に山下が大荷物を引きずって現れた。
南方は山下にいち早く気づくと、最後の力を振り絞って言った。
「やましたぁ!そいつら二人を止めてくれぇ!頼むっ!」
とたんに山下はハッとして身構える。
事態が把握できないが、言われたとおり目の前の二人を止めなければならない。
男が山下に気づいたのか、ものスゴいスピードで突っ込んでくる。