Jumpin' Five 14

曽根菜由美  2006-11-27投稿
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そして、楽器のセッティングを終え、岩田さんが例のアンサンブルの譜面を分けてくれた。『Jumpin' Five』というタイトルで、名前の通り、5人で演奏する。スネア3台、バスドラ、シンバル、とかなりオーソドックスな編成である。近年の打楽器のアンコンにあるような、いろんな…それこそ名前もわからないような打楽器を使う、というようなことは決してない。使う楽器はたったの3種類。
「パート、オレが勝手に決めたけど、今日畑中くんがいないもんで、女性2人でスネアの1,2、オレとサトシでシンバルとバスドラやるよ。それでいいかな?」
「あ、いいです。」
サトシ…は富山くんのことだ。
「それとも、サトシ、スネアの方やってみるか?オレ、ここにセットあるから、シンバルと両方やるから。」
笑っているのは美加。それにしても、そんなに器用なことができるのか。もしできたとしたら、やはり岩田さんのことを尊敬してしまう。私?私だったら、さらえばできるってトコかな?初見じゃ無理だな。
「あ、スネアやってみます。」
「じゃあ、よろしく。」
もしかしたら、コイツが初見でスネアできるかってコトか?問題は?
 それにしても、今日はどうして畑中さんは来ないのだろう。今日せっかく5人で合わせられると思って来たのに。病み上がりの体で来たっていうのに。岩田さんが畑中さんを信用しないのも、なんとなくわかるような気がする。期待を裏切られてしまうのだから。一応、練習を休むときは、パートリーダーに連絡することになっている。私はどうして畑中さんが休んでいるのか尋ねてみようと思ったが、すぐ聞くだけヤボだと感じた。連絡なんかないに決まっている。
 私まで、畑中さんを信じなくなっていた。気がついたら…。

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