だから僕は今日も必死に演じるんだ。君の『良き女友達』を。
「そんなわけにもいかないでしょ。ベッド狭いんだし。それに私のベッド占領しておいて、なんでそんなに偉そうなのよ、春奈は。」
それを聞いて「だって〜」と口を尖らせる君を、愛しいと思いながら、僕は君に聞こえないようにこう呟いた。
「僕の本当の姿を知ったら…君はどんな顔をするだろう…?」
その瞬間偶然にも、君が太陽にも負けないくらいの眩しい笑顔で、僕を見て笑った。
…僕はその笑顔を見て、君の笑顔を守るためにも、この想いを太陽の許で打ち明けることは絶対にしないと、月に誓った。
そして同時に、君に対する愛がまた少し歪んだのを感じていた…──。
だけど…どんなにこの愛が歪もうと、不毛だろうと、絶対に君には知られてはいけない…。『秘めし恋』、それでいいんだ…。
だって君にこんな僕の本性を知られたら、僕はもう生きていけないから…。君は純粋な男女の恋しか知らないままでいいんだから…。だって君は僕の…汚れなき不可触の女神なんだから…──。
…そして僕は今夜も、月を見上げては願うんだろう。
『願わくば、来世では君の恋人として廻り会えますように…──。』と。