【ナイト・オン・ドラグーン】Story†26

ミルクボーイ  2006-11-28投稿
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「殺したはずなのに…化け物か!?こいつっ!」
「化け物?ギースって言ったろ?」

そう言うと、彼は山賊達の視界から消えた。
次々に山賊達が悲鳴を上げながら倒れていった。
山賊達の頭を腕を足を飛散させ、血の海を築き上げた。
「こん…なっ!クソガキごときに…」

目にもとまらぬ速さでギースは山賊達を斬殺した。
「ククク…」
腹の底から笑いが込み上げてくる。
死んだはずの自分が何故、再び、地に立っているのかがわからない。
剣術を習っていたが、人並み程度だったはず。
だからさっき、瞬殺した山賊達にたやすくやられた。
しかし、今の自分は尋常じゃない速さで動いた。

剣を納め、辺りを見渡す。
村は全焼していて、村人達の無惨な骸が転がっている。
自分の足元にも最愛の両親の骸が横たわっていた。
生まれ育った村、いつも自分を可愛がってくれた村人達、そして両親。
ギースはすべてを失ってしまった。
その光景を見つめる。が、何も感じない。
怒りも憎しみも哀しみさえも。
ただ感じるのは抑えきれないほどの殺意だけだった。
『へぇ…お前が払った契約の代償は”人格”か。』
ギースは自分の回りを飛び回っている蒼い物体に気がついた。
「ウンディーネ、と言ったな。礼を言う。」
『あたしの気まぐれだ。気にすんな』
ギースはこの魔物と契約したことを悟った。そして強大な力が手に入った。


そんな過去を思い出しながら、神水の守護者ギースは蒼玉を眺めていた。
突然。扉が開き、兵士が駆け込んできた。
「ギース隊長に報告!正門が破られました!」ギースはゆっくり振り返る。
「敵の数は…?」
「そ、それが…たった二人です!」
部屋の外部が騒がしい。
『たった二人〜?封印騎士団って弱くない?』ギースの懐から小さな妖精が現れ軽口を叩いた。
「どんな奴らだ?」
「魔道師の女と反逆者、アインかと思われます!」
ギースは口元に笑みを浮かべた。
昨日、封印騎士団で反逆の兎が脱走したと伝達がきたばかりだった。たった二人で攻め込む奴らがどんな強者なのか。
「久々に楽しめそうだ。」
ギースは体が打ち震えてしょうがなかった。
『殺戮大好き〜』
ウンディーネはうっとうしいくらいギースの回りを飛び回っていた。


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