一つ年上の貴方は、顔を歪めて言った。
『ごめんね…』
一つ年下の俺は、微笑みながら言った。
『いいよ、これは貴女の道だから。』
好きだった。
もしも俺が一年早く生まれていれば。
奪われなかったかもしれないのに。
貴女は笑顔を絶やさないで。
笑っていて。
おれはまだ貴女を想っているけど。
最後に抱き寄せた体は暖かく、冷え切った俺の体を暖めてゆく。
最後に口付けをした時の伏せた睫が、密かに震える。
愛おしい。
さようなら。
今から、先輩、後輩になる。
酸味な関係。
先輩…俺はまだ貴女を愛しています。
貴女が好きだった。
今もまだ好きだけど。
どうか、貴女を愛すことをお許し下さい。
好きだった。